ほうれん草は、畑でもベランダでも家庭菜園として育てられるのが魅力で、初心者にもおすすめの野菜と言われています。
しかし、家庭菜園でほうれん草を育てていると、花が咲いているのに気づいてびっくりした方もいらっしゃるでしょう。
花が咲いているほうれん草が、スーパーで売られているのを見かけたことがないので、ほうれん草の花は食べられるのか心配になります。
- ほうれん草は、花が咲いても食べられます
- ほうれん草には毒はありませんが、シュウ酸は含まれています
- 収穫時期は、種を蒔いた時期によって異なりまが、早ければ1ヶ月後には収穫できます
それでは、ほうれん草は花が咲いても食べられるか、毒はないか、収穫時期はいつ頃かなどについて、もう少し詳しくご紹介していきます。
花が咲いたほうれん草を食べられないと思って捨てていた方、ほうれん草には毒があると聞いて心配しながら食べていた方、この記事を参考にしてもらえれば、そんな心配をせずに安心して食べられますよ。
ほうれん草の花は食べれる?
ほうれん草の花は、味はやや落ちますが、食べることができます。
ほうれん草は花が咲いてしまうと、本来食べる葉の栄養が花に取られてしまうため、葉は固くなり繊維質で筋張ってきて、その上アクも強くなるので、美味しく食べられなくなります。
トウ立ちについて
トウ立ちとは、子孫を残すために、野菜が茎を伸ばして花を咲かせることです。
「トウ」とは花を咲かせる茎のことで、花の茎が伸びることを「トウ立ち」と言います。
収穫前に花が咲いているのに気づいたら、早めに収穫して食べることをおすすめします。
トウ立ちしたほうれん草は出荷できなくなるので、商品価値がなくなったものと見なし、破棄されることが多いですが、必ずしも食べられないというわけではありません。
野菜を出荷する農家にとっては、とう立ちは悩みの種ですが、家庭菜園では心配しなくて大丈夫です。
トウ立ちしたほうれん草の食べ方
加熱調理
トウ立ちしたほうれん草は、生食は難しいですが、鍋物や煮物などでしっかり加熱したり、生姜や人参などといっしょに炒めたりすると美味しくいただけます。
茎が固い場合は、葉だけを取って食べるとよいでしょう。
花の食べ方
ほうれん草の花も、葉と同じように食べられます。
トウ立ちした花も、開き切る前ならば葉と一緒に食べられます。
油とよく合うので、ツナ缶や豚バラ肉と合わせて炒め物にしたり、天ぷらにしたりしても美味しいです。
花が開くと花の軸が固くなって、口に残るようになるのでおすすめできません。
ほうれん草の花に毒はある?
ほうれん草の花は、食べても毒になるようなことはありません。
もちろん、ほうれん草自体にも毒はありません。
農家で育てたほうれん草を直売所で買ったりいただいたりしたものには、根元が赤くなっている部分がスーパー等で買ったものより多いです。
ほうれん草の根元の赤い部分について
ほうれん草の根元の赤い部分には、抗酸化作用のあるポリフェノールと、骨を形成する際に必要なマンガンが豊富に含まれています。
ポリフェノールは、体に有害な物質を無害な物に変えたり、生活習慣病を予防したりすることに役立ちます。
マンガンが不足すると、骨粗鬆症や肌荒れの原因になったり、血糖値が高くなって糖尿病になったりする危険性もあると言われています。
マンガンは、成長期の子どもにも摂ってほしい成分の一つです。
根元の赤い部分には体に良くない成分が入っているのではないかと心配し、捨ててしまう人も多いようですが、私はこの赤い部分も食べています。
根元の部分は、葉の部分よりも甘みが強く美味しいです。
捨てればゴミですが、食べれば栄養になりますので、捨てずに積極的に料理に活用してほしいと思います。
ほうれん草の毒素
「ほうれん草には毒がある?」と言われるこの毒素とは、シュウ酸という成分です。
ほうれん草には毒はありませんが、シュウ酸は含まれています。
シュウ酸は、アクやえぐみの原因となる成分です。
レタスやキャベツなどの葉菜類の野菜、筍、紅茶、コーヒー、お茶(特に玉露・抹茶)などにも含まれています。
水に溶ける性質を持っているため、水にさらしたり沸騰したお湯で茹でたりすることで、シュウ酸を減らすことができます。
また、電子レンジで加熱することでも取り除くことができます。
苦味も取れるので、ほうれん草が苦手な子どもでも食べやすくなります。
シュウ酸の摂り過ぎによるデメリット
シュウ酸を摂りすぎると、体内でシュウ酸とカルシウムが結合して結石ができやすくなるので、尿管結石の原因になると言われています。
尿管結石は3大激痛と言われおり、想像を絶するような痛みをもたらすそうです。
茹でて灰汁を抜くと、シュウ酸を取り除くことができます。
尿管結石が心配な場合は、料理する前にほうれん草を茹でてアク抜きをするとよいでしょう。
調理の前に、水にさらしたり熱湯で茹でたりする一手間を加えることで、味にも健康にも気を使った、美味しいほうれん草を食べることができます。
水に浸し過ぎたり茹で過ぎたりすると、他の栄養素が抜けてしまうので注意しましょう。
今では、品種改良をして、栽培の段階からシュウ酸が少なくて生で食べられるほうれん草も出回っています。
ほうれん草のトウ立ちは防ぐことができる?
ほうれん草のトウ立ちを防ぐことはできませんが、できるだけ遅らせることはできます。
トウ立ちが起きる原因
トウ立ちが起きる原因は、日照時間が長くなることです。
日照時間が1日12時間を超えると、ほうれん草が花を咲かせる条件になり花芽が形成され、その後、花茎が伸びて花が咲きます。
太陽の光だけでなく、高温状態が続いたり、外灯の明かりが当たり続けたりすることでも、ほうれん草は日照時間が長くなったと勘違いして、トウ立ちが起きることもあるようです。
ほうれん草のトウ立ちを遅らせる対策
日照時間を短縮する
- 夕方になったら、布やシートでほうれん草を覆う
日が当たっている時間が12時間以上になるとトウ立ちが起きてしまうので、布やシートで覆うことでほうれん草は日が落ちたと思ってくれます。
プランターなどの場合は、夕方は室内に移動するだけで大丈夫です。
- 秋まき冬どりで収穫時期をずらす
春まきや夏まきのほうれん草の場合は、日も長くなるのでトウ立ちしやすくなります。
秋になれば、日照時間は短くなり気温も下がります。
秋まき冬どりにすると、花芽ができてもトウ立ちまでの過程はゆっくりです。
また寒い時期の収穫は、味も良くなると言われており、一石二鳥です。
ほうれん草の収穫時期はいつ頃?
収穫時期は、種を蒔いた時期によって異なりますが、早ければ1ヶ月後には収穫できます。
ほうれん草の収穫時期
一般的なほうれん草は、春まきと秋まきに分かれ、種を植え付けてから収穫までは、
- 春まき:2月下旬に種まき、30~40日後(4月中旬から)に収穫
- 秋まき:9月上旬に種まき、30~50日後(10月以降)に収穫
となります。
- 10月に種まきして、2ヶ月~3ヶ月後(12~1月)に収穫
- 11月に種まきして、3ヶ月~4ヶ月後(2~3月)に収穫
とすることもできます。
寒くなるにつれ、種まき後、収穫までの日数が長くなります。
ほうれん草は、温暖地の場合は11月まで露地栽培が可能だと言われています。
ほうれん草の収穫の目安
ほうれん草の丈が、20~25cm程度に成長してから収穫します。
ほうれん草は、種まき後の育ちが早く、他の野菜と比べても比較的早く収穫できる野菜です。
葉の部分を食べるほうれん草は、育つ過程で順次収穫することもできます。
収穫のスタートのおおよその目安は、ほうれん草の丈が20cm以上になった頃からです。
栽培の途中で、間引いた葉も食べることができます。
まとめ
ほうれん草は花が咲いても食べられるか、毒はないか、収穫時期はいつ頃か、などについてお伝えしました
- ほうれん草の花は、味はやや落ちるが食べることができる
- ほうれん草には毒はないが、シュウ酸は含まれているので、取り除いた方がよい
- 収穫時期は、種を蒔いた時期によって異なるが、早ければ1ヶ月後には収穫できる
- 春まき:2月下旬に種まき、30~40日後(4月中旬から)に収穫
- 秋まき:9月上旬に種まき、30~50日後(10月以降)に収穫
ほうれん草は、ビタミン類やミネラルなど栄養価の高い緑黄色野菜です。お浸しやサラダ、ソテーやシチューなど使い方は様々です。
「ほうれん草には毒がある?」などという噂を気にせずに、栄養豊富なほうれん草を安心して美味しく食べられるように、この記事を参考にしてもらえたらうれしいです。
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