かつての日本では、どこの家でも米糠のぬか床で野菜を漬けて食べていましたが、今の日本ではあまり食べられなくなりました。
最近テレビなどでの影響で食べる人が少しずつ増えていますが、ぬか漬けは体に悪いのではないかと心配になります。
- ぬか漬けには、塩分が多く含まれているため、食べ過ぎには注意が必要です。
- 塩分過多にならないように、1日あたりの摂取量として20~30gを目安とするとよいでしょう。
- ぬか漬けを適量食べ続けると、健康やダイエット、美容に効果が期待できます。
- ぬか漬けを食べることで、アンチエイジング効果があり、肌がきれいになります。
それでは、ぬか漬けは体に悪いのか、それともいいのか、食べ続けるとどうなるか、ぬか漬けを食べることで肌がきれいになるかなどについて、もう少し詳しくご紹介していきます。
ぬか漬けの体への効果やデメリットとその解消法について、この記事を参考にしてもらえれば、安心してぬか漬けを食べることができますよ。
ぬか漬けは体に悪い?いい?
ぬか漬けの一番のデメリットは、塩分が多いことで、食べ過ぎには注意が必要です。
メリットは、健康やダイエット、美容に効果が期待できることです。
ぬか漬けのデメリット
ぬか漬けには、塩分が多く含まれているため、食べ過ぎには注意が必要です。
塩分過多になる
ぬか漬けなどの漬物は塩分が多く含まれているので、食べ過ぎると塩分過多になるでしょう。
主な野菜のぬか漬け100gあたりの塩分量は、下記のようになります。
- きゅうり:5.3g
- 大根:3.8g
- なす:2.5g
- かぶの葉:3.8g
- かぶの根:2.2g
健康的な1日あたりの塩分摂取量は、男性は1日7.5g未満、女性は6.5g未満と定められています。
しかし、日本高血圧学会減塩・栄養委員会は高血圧予防のために、血圧が正常な人にも食塩制限(可能であれば1日6g未満)を勧めています。
正常血圧でも高めの人は、循環器病や腎不全の危険性があるので、予防のために食塩制限が重要と考えられているからです。
また、大人になっての高血圧や循環器病を防ぐために、子どものころから食塩を制限することが望まれています。
引用元:減塩・栄養委員会|日本高血圧学会 (jpnsh.jp)
下痢になる
ぬか漬けを食べ過ぎたり体に合わなかったりすると、下痢になることもあります。
ぬか漬けには乳酸菌が豊富に含まれているので、腸内環境を整える効果があります。
しかし、ぬか漬けに含まれている乳酸菌は植物性乳酸菌であり、ヨーグルトなどに含まれている動物性乳酸菌よりも、直接腸に働きかける効果が強いと言われています。
ぬか漬けの菌の強さにより下痢になる場合があるので、体質に合わない時は、食べない方がよいでしょう。
塩分過多にならない1日の摂取量
ぬか漬け以外にも、汁物やおかずなどで塩分を摂ることを考えると、1日に20~30gを目安に食べるとよいでしょう。
きゅうり1本をおよそ100gと考えると少なく感じますが、塩分の摂り過ぎは腎障害や高血圧の原因になり、更に動脈硬化が進むと脳卒中や心臓病にもなりやすいので、注意が必要です。
ぬか漬けのメリット
ぬか漬けのメリットは、乳酸菌・酵素、ビタミンB群、ビタミンA、ビタミンEなどが豊富に含まれているので、野菜の水分が抜けてぬか床の栄養が吸収されることから、健康やダイエット、美容に効果が期待できます。
整腸効果
ぬか漬けに含まれている植物性乳酸菌は、胃酸に強く生きたまま腸に届きます。
腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の働きを抑えるので、腸内環境が整い、便器解消にもつながります。
ダイエット効果
野菜をぬか漬けにすることで、ビタミンB1・B2が倍以上に増えると言われています。
ビタミンB1は糖質の代謝を助けて糖質をエネルギーに変え、ビタミンB2は脂質の代謝を助けて、血中の中性脂肪の増加を抑えるので、ダイエットに効果があります。
動脈硬化の予防
ぬか漬けに含まれるビタミンEには強い抗酸化作用があるので、血中コレステロールの改善や生活習慣病の予防に効果的です。
また、血流を良くするナイアシン、摂り過ぎた塩分を排出するカリウム、糖の吸収を穏やかにし、血糖の急上昇を抑える食物繊維など動脈硬化の予防に効果的な栄養素が多く含まれています。
美容効果
乳酸菌の生み出す酵素には、代謝を促進させて老廃物を排出したり、活性酸素を抑え、シミやそばかすを防いだりする美肌効果も期待できます。
酵素は熱に弱いため、野菜を生で食べられるぬか漬けは、野菜の酵素とぬか漬けの酵素を共に摂ることができる優秀な発酵食品と言えます。
免疫力がつく
ぬか漬けに含まれるビタミンAは、皮膚や粘膜を健康にしたり、菌やウイルスなどへの抵抗力を強くしたりして、私たちの健康維持を助ける働きがあります。
体内に菌やウイルスが侵入した時に戦うための細胞を作ることにも、ビタミンAは関わっているため、ぬか漬けには免疫力を上げる効果があると言われています。
ぬか漬けを食べ続けるとどうなる?
ぬか漬けを適量食べ続けることで、上記で示したように健康やダイエット、美容に効果が期待できます。
ここでは、ぬか漬けを食べ続けることで、肌はきれいになるか、体臭は変わるか、宿便がなくなるかについて、お伝えします。
ぬか漬けを食べると肌はきれいになる?
ぬか漬けには、多くの酵素が含まれていて、この酵素は活性酸素を除去する力が強いので、シミ、しわ、くすみなど肌老化の原因改善に効果があり、美肌になります。
ぬか漬けは、「抗加齢」「抗老化」を意味するアンチエイジング効果があると言われ、食べ続けることで、老化を抑えて若々しさを維持することができるでしょう。
具体的に、ぬか漬けには下記のような効果が期待できます。
潤いとハリのある肌に
肌の水分量を増やし乾燥を防ぐ効果と、ビタミンCが多い野菜を漬けることで、コラーゲンを増やす効果があります。
透明感のある肌に
日焼け止めのような紫外線を防ぐ効果と、メラニンの生成を抑えてくれる効果があります。
ニキビのない肌に
ニキビに効果的なビタミンBとビタミンCを摂取できるので、皮膚や粘膜を健康に保つことを助ける働きや、ストレスによる過剰な皮膚分泌を抑える働きが期待できます。
肌悩みを改善する
腸と肌は密接に関係しているので、肌の状態で腸内環境がわかるとも言われ、腸を整えることで、様々な肌悩みが改善されます。
ネット上には、「便秘の時にはおでこに吹き出物ができていたけれど、ぬか漬けを食べるようになってからできなくなりました。」という意見もありました。
ぬか漬けで体臭が変わる?
ぬか漬けを食べ続けることで、体臭が変わります。
その理由として、便秘の改善、免疫力の向上、土いじり効果が挙げられます。
便秘の改善
ぬか漬けを食べ続けることで植物性乳酸菌を摂取できるので、老廃物が体外へ排出され、便秘改善につながります。
植物性乳酸菌は、腸内で善玉菌を増やし、腸内環境を悪くする悪玉菌を排除して腸内をきれいにしてくれます。
この結果、体外に臭いの元となるアンモニアなどが排出され、ワキガやおならの強い臭いが減るため、体臭予防になります。
免疫力の向上
腸内環境は老廃物が溜まっていると、食事や栄養剤などで摂取した栄養素が吸収しにくくなります。
植物性乳酸菌のお陰で増えた善玉菌の働きで、新陳代謝がよくなったり栄養を吸収したりできるので、丈夫な体作りにつながり免疫力が向上します。
土いじり効果
ぬか漬けをすることは、土いじりに似たような効果を得ることができると言われています。
対人関係や仕事でのストレスの他に、知らず知らずのうちに心や体を蝕んでいく隠れストレスもあり、ストレス臭の原因になっていると考えられています。
ぬか漬けは土のようなものをいじるため、自然と触れ合うことが少なくなっている人にも、自然に立ち返ったような気分を味わわせてくれるので、ストレス解消になります。
ぬか漬けを食べると宿便がなくなる?
ぬか漬けを適量食べることで、便秘により腸内に長く滞留している宿便がなくなる場合もあります。
ぬか漬けを食べると便秘が解消すると言われる理由は、ぬか漬けに含まれる乳酸菌と食物繊維です。
ぬか漬けの乳酸菌
ぬか漬けは発酵食品で、乳酸菌が豊富に含まれています。
精米の時に出る糠が栄養豊富で、乳酸菌の発酵に適しています。
乳酸菌には動物性乳酸菌と植物性乳酸菌がありますが、ぬか漬けの乳酸菌は植物性乳酸菌で、動物性乳酸菌に比べて胃酸に強く腸まで届いて腸内の善玉菌を増やし、腸内環境をよくしてくれます。
仮に生きたまま腸まで届かなくても、善玉菌のエサになります。
腸内にある老廃物を排出してくれるので、便通が良くなり便秘解消につながります。
ぬか漬けの食物繊維
便秘解消には食物繊維を摂るとよいと言われています。
食物繊維を含む食品は多く、豆類、きのこ類、芋類、野菜、果物、海藻類などがありますが、ぬか漬けの多くは野菜なので、ぬか漬けを食べることが食物繊維を摂ることになります。
また、ぬか漬けに含まれる食物繊維は不溶性食物繊維で水分を吸収すると膨れ上がり、腸の壁を刺激して腸の運動を活発にし、必要ない物を便として排出します。
このため、便秘気味な人にとっては、大いに助けになります。
ネット上には「ぬか漬けを毎日食べるようになってから、お通じも体調もいい。」
という意見がありました。
塩分控えめのぬか漬けの作り方
ぬか漬けを冷蔵庫で育てると、腐敗する心配がないので、塩を減らすことができます。
冷蔵庫を活用した、塩分控えめなぬか漬けの作り方をお伝えします。
減塩ぬか床を作る
私は、初心者なので少なめな量で作りましたが、多めに作りたい方はこの倍の量で作るとよいでしょう。
《材料》
- 水:400ml
- 塩:50g
- 玄米麹(米麹):50g
- ぬるま湯:50ml
- ぬか:500g
- 赤唐辛子:1本
- 昆布:5cm
- 削り節:5g
- 捨て漬け野菜(キャベツ、大根の葉、人参のヘタなど):50~75g
《作り方》
- 鍋に水と塩を入れて火にかけ、塩が溶けたら冷まします。
- 玄米麹(米麹)にぬるま湯を加えてふやかします。
- 大きめなボウルなどの容器に、ぬか、ふやかした玄米麹(米麹)、赤唐辛子、昆布、削り節を入れて塩を溶かした水を加え、よく混ぜます。
- ぬか漬けを作る容器に、③を詰め、捨て漬け野菜を漬けます。この時、野菜全体が隠れるように埋め込みます。
- 容器の縁をきれいに拭って、蓋を乗せて2~3日間置いておきます。蓋で密閉しないことが大事です。この間、20℃位の場所に置き、1日に1回以上、上下を返すようにぬか床をかき混ぜます。
- 2~3日過ぎたら、捨て漬け野菜を取り出し、野菜に付いているぬかを手でしごき落とし、ぬか床に戻します。
- 新たな捨て漬け野菜を漬けて、更に2~3日間置いておきます。この間も、1日に1回以上、上下を返すようにぬか床をかき混ぜましょう。
- ぬか床がしっとりして味噌のような固さになり、酸っぱい香りがしてきたらぬか床の完成です。
野菜を漬ける
《材料》
・本漬け用の野菜(きゅうり、なす、人参、大根などお好みの野菜)
《作り方》
➀本漬け用の野菜を洗って、キッチンペーパーなどで水気を拭い、塩をすり込んでぬか床に入れ、全体が隠れるように埋め込みます。表面を押して平らに整えます。
この時、容器の縁に付いたぬかをきれいに拭い、蓋をして冷蔵庫に入れます。
②1日(約24時間)経ったら、漬けた野菜を軽く水洗いして、好みの大きさに切ってお皿に乗せれば完成です。
かぼちゃなどの固い野菜は、2日(24時間)ほど漬けておきます。
美味しいぬか漬けを作るために
- ぬか床は1日に1回以上、上下を返すように大きく混ぜ、空洞ができないように表面を押して平らに整えることが大事です。
- ぬか床が発酵するまでの捨て漬け野菜を入れている間は、20℃位の場所に置きます。その後は発酵し過ぎないように冷蔵庫に入れる方法がおすすめです。
冷蔵庫に入れて温度を下げることで、ぬか床の乳酸菌の活動を抑えることができ、ぬか漬けが出来上がるまでの時間が長くなるので、塩分を控えめにすることができます。
ぬか漬けの塩分を抑える漬け方
ぬか漬けの塩分を抑える漬け方として、「冷蔵庫で漬ける」方法をお伝えしましたが、この他に下記のことに気を付けて漬けると、塩分を抑えられます。
カリウムの多い野菜を漬ける
摂取した塩分を体外に排出する働きがあるカリウムの多い野菜を漬けるとよいです。ぬか漬けの定番と言えるきゅうり、人参、大根、なすなどはカリウムの多い野菜です。この他にみょうがやかぼちゃなどもおすすめです。
旨味成分を含む食材の量を増やす
ぬか床に入れる旨味成分を含む食材、昆布、かつお節、乾燥しいたけなどの量を増やすことでも、塩分を控えることができます。
しかし、旨味成分を入れすぎると、ぬか漬け本来の美味しさと違ってくることもあるので、少しずつ様子を見ながら入れるとよいでしょう。
野菜を切らずに漬ける
野菜を切った状態でぬか床に漬けると、切った断面からぬかの塩分が入るので、野菜は切らずに漬けることで塩分を減らすことになります。
漬ける時間を減らす
単純に漬ける時間を短くして、いわゆる浅漬けにすれば塩分を控えることができます。
まとめ
ぬか漬けは体に悪いのか、いいのか、食べ続けるとどうなるか、ぬか漬けで肌がきれいになるか、などについてお伝えしました。
- ぬか漬けには、塩分が多く含まれているので、食べ過ぎには注意が必要
- 塩分過多にならないように、1日あたりの摂取量として20~30gを目安にするとよい
- ぬか漬けを適量食べ続けると、健康やダイエット、美容に効果が期待できる
- ぬか漬けを食べることで、アンチエイジング効果があり、肌がきれいになる
ぬか漬けは、発酵の過程で旨味はもちろんですが、栄養価も元々の食材の5~10倍にアップしていると言われています。
腸内環境を整える腸活が美容と健康に良いことは、今や常識となり、ぬか漬けの乳酸菌は腸活に一役買っていると言えます。
ぬか漬けの食べ過ぎに気を付けて適量を食べ続けることで、多くの効果が得られるように、この記事が参考になればうれしいです。
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