里芋は食べ過ぎると下痢になる？お通じや腹痛、ダイエットなどへの影響は？

里芋は、和食との相性は良く、煮物にはよく登場しますが、意外にもグラタンやコロッケなどの洋食でも活用される万能な食材です。

ホクホクした食感と独特のぬめりがあり美味しいので、つい食べ過ぎてしまうこともあります。

• 里芋は食べ過ぎると、下痢や腹痛になることもあります。
• 里芋は食物繊維が豊富なので、お通じの改善にも役立ちます。
• 里芋にはダイエット効果のある栄養素が含まれているので、ダイエットをサポートしてくれます。

それでは、里芋は食べ過ぎると下痢になるのか、お通じや腹痛、ダイエットなどへの影響はあるのかなどについて、もう少し詳しくご紹介していきます。

里芋は食べ過ぎるとどうなる？

里芋を適量食べる程度では心配ありませんが、里芋の食べ過ぎで、下痢や腹痛など体に良くない影響が出る場合もあります。

里芋に含まれるシュウ酸の影響

1つ目は、里芋に含まれるシュウ酸という成分の影響が考えられます。

シュウ酸は、里芋を茹でることで流れ出てしまいますが、完全には排出されずに残ります。

里芋を手で触ると痒くなってしまいますが、それだけでなく、食べ過ぎることでシュウ酸が体内に蓄積されて、下痢や腹痛の原因になってしまうそうです。

また、里芋に含まれるシュウ酸を摂り過ぎることで、尿路結石症を引き起こすこともあります。

尿路結石症は腎臓から尿道までの間に結石が生じる病気で、激しい痛みや血尿、高熱などを起こすこともあるそうです。

ほうれん草やブロッコリー、キャベツなどにもシュウ酸が多く含まれていますが、シュウ酸は茹でることで減少すると言われているので、気になる場合は、里芋を調理する時には下茹でするとよいでしょう。

また、カルシウムを一緒に摂るとシュウ酸の吸収を抑える効果があると言われているので、調理の際に工夫するという方法もあります。

里芋に含まれる食物繊維の影響

里芋には２種類の食物繊維、

• 水溶性食物繊維
• 不溶性食物繊維

が含まれていて、その食物繊維が体調に影響を与えてしまうことがあります。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維には、水に溶けてゼリーのようになり、栄養の吸収をゆっくりにする働きがあります。

血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールの吸収を穏やかにしたりする効果や、便を柔らかくする効果があります。

しかし、水溶性食物繊維を摂り過ぎることで、腸にある水分を集めて便を柔らかくしすぎるために、腹痛や下痢になってしまうことがあります。

不溶性食物繊維

水には溶けませんが、水分を吸うことでカサが大きくなるという特徴があります。

便のカサを増し、大腸を刺激することでは排便を促進する効果が期待されます。

しかし、元々便秘状態の人は腸の動きが低下しているので、不溶性食物繊維を摂り過ぎることで、カサを増した便を上手く排出できずに便秘が酷くなってしまうということもあります。

里芋の食べ過ぎは太る？

里芋は、芋類に属し炭水化物を含むため、食べ過ぎると太る原因になります。

しかし、適量を食べる分には、太るほどのことはないでしょう。

里芋のカロリーと糖質を、他の芋類と比較したものをお伝えします。

里芋のカロリー

里芋のカロリーを、他の芋類と比較してみると（100ｇあたり）

• 里芋：58kcal
• 長芋：65kal
• じゃがいも：76cal
• 大和芋：123kcal
• さつまいも：134kcal

ということで、里芋のカロリーは、他の芋類のカロリーと比較すると低いです。

しかし、他の野菜と比べると（100ｇあたり）

• 里芋：58kcal
• 大根：18kcal
• 人参：36kcal
• 白菜：14kcal
• キャベツ：23kcal

ということで、里芋のカロリーは高めになりますので、他の野菜を食べるように食べ過ぎてしまうと太る原因にもなると言えるでしょう。

※引用：文部科学省 日本食品標準成分表

里芋の糖質

糖質は、炭水化物から食物繊維を引いた数値で表記します。

里芋の炭水化物量は、13.1g、食物繊維量は2.3ｇですから、差し引いた糖質量は、10.8ｇとなります。

他の芋類と比較してみると（100ｇあたり）

	炭水化物	食物繊維	糖質
里芋	13.1	2.3	10.8
長芋	13.9	1.0	12.9
じゃがいも	17.6	1.3	16.3
大和芋	27.1	2.5	24.6
さつまいも	31.9	2.2	29.7

となります。

里芋は、他の芋類に比べて炭水化物量が少なく食物繊維量が多いため、糖質量はやや少なくなります。

里芋のカロリーと糖質を見てみると、芋類の中ではどちらも少なめです。

食物繊維も含んでいるため、カロリーや糖質が少なめな割には、腹持ちが良い食材と言えます。

従って、食べ過ぎには注意が必要ですが、適量を食べる分には太るほどのことはないと言えるでしょう。

里芋の適量はどれくらい？

里芋の適量は、一日に130ｇほどが目安と言われています。

里芋は、ご飯やパン、麺類などと同様に炭水化物を多く含む食品に分類されます。

炭水化物の摂り過ぎが気になる方は、里芋を食べる分だけ主食を減らすとバランスが良くなります。

例えば、里芋130ｇ（約3個）を食べる時には、ご飯を55ｇほど減らすとよいでしょう。

※引用：ハル薬局「食品交換表 」

里芋にはダイエット効果がある？

里芋にはダイエット効果のある栄養素が含まれているので、ダイエットをサポートしてくれる食材と言われています。

里芋のダイエット効果のある栄養素、

• カリウム
• ガラクタン
• 食物繊維

の4種類についてお伝えします。

カリウム

里芋のカリウムを他の芋類と比較してみると（100ｇあたり）

• 里芋：640mg
• 長芋：430mg
• じゃがいも：410mg
• 大和芋：590mg
• さつまいも：480mg

となります。

里芋に含まれるカリウムは、芋類の中でもトップクラスの含有量で、栄養価が高くなっています。

カリウムは、体内の水分量を適切に保つために欠かせない栄養素で、過剰なナトリウムを排泄する役割があります。

むくみや高血圧の予防・改善の効果に期待できます。

塩分が多いと血液が詰まりやすくなるので、むくみ解消だけでなく、血液サラサラ効果にも期待できます。

ガラクタン

里芋には、あまり聞き馴染みのないガラクタンという栄養素が含まれています。

ガラクタンという栄養成分は、炭水化物とたんぱく質の結合したものです。

里芋独特のぬめりであって、免役力を高め、癌細胞の増殖を抑制してくれたり、血圧やコレステロール値を低下させたりする効果があります。

また、ネバネバ成分には血液サラサラ効果があるので、脳細胞を活性化させ、痴呆やボケを予防します。

たくさん摂取しても脂肪にならないという点も、優れています。

人間の消化酵素の中にはガラクタンを分解できるものがないので、脂肪として蓄積されず体外に排出されるそうです。

食物繊維

里芋には食物繊維も含まれていますが、注目してほしいのは、食物繊維のバランスです。

理想的な食物繊維のバランスは、

不溶性食物繊維「2」、水溶性食物繊維「1」の割合です。

里芋の食物繊維を他の芋類と比較してみると（100ｇあたり）

	不溶性食物繊維	水溶性食物繊維	総量
里芋	1.5	0.8	2.3
長芋	0.8	0.2	1.0
じゃがいも	0.7	0.6	1.3
大和芋	1.8	0.7	2.5
さつまいも	1.6	0.6	2.2

となります。

不溶性食物繊維は、水に溶けにくく、腸内で水分を保ち便のカサを増やして排便を促す作用があります。

水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、腸内で柔らかい便を作り排便を促し、善玉菌を増やす作用があります。

また糖分の吸収速度を緩やかにして、食後の血糖値の上昇や脂肪吸収を抑えるという効果があります。

このように里芋には、異なった食物繊維がバランス良く役立ってくれるので、便秘解消にも適していると言われ、お通じの改善にも役立ちます。

ネット上に、「最近、里芋を良く食べるようになり、お通じがいい感じがする。」という声もありました。

ダイエットに効果的なこれらの栄養素を失わずに調理するには、熱湯で茹でるとお湯に流れ出してしまうので、下茹での際は、電子レンジで加熱するとよいでしょう。

電子レンジでの加熱方法

里芋4個（200ｇ）の場合

1. 里芋をよく洗い、濡れたままの里芋を耐熱皿に乗せる
2. ふんわりとラップをして、電子レンジ600Ｗで12分ほど加熱する

途中で里芋をひっくり返すと、ムラなく茹でることができます。

加熱時間は、里芋の大きさや電子レンジの機種によって異なりますので、様子を見ながら加熱してください。

下茹でした里芋の皮は手で剥くことができます。

生の里芋を包丁で剥くと剥きすぎてぬるぬるとしてしまいますが、下茹でした里芋は簡単に皮が剥けます。

私も実際にやってみましたが、手が痒くならずに剥けました。

里芋はダイエットに優れた食材ですが、即効性は期待できません。

里芋と一緒に、他の食材もバランス良く食べるように心がけるとよいでしょう。

妊婦が里芋を食べても大丈夫？

食べ過ぎはもちろんよくありませんが、妊娠中も積極的に食べた方がよい食材です。

体重を増やし過ぎずに、栄養をしっかり摂らなくてはならない妊婦さんにおすすめです。

特に体重管理が難しくなってきたと感じ始めたら、里芋を積極的に食べるようにするとよいでしょう。

妊婦さんにも良いと思われる栄養素

妊婦さんにも良いと思われる栄養素は、ガラクタン、カリウム、食物繊維、ビタミンB6です。

• ガラクタン：免疫力アップ効果

免疫力を高め、風邪の予防を予防します。さらに消化を促進し、整腸と便秘の解消にも効果的です。

• カリウム：塩分を排出する働き

妊娠中期から後期にかけて妊娠高血圧症候群になる可能性が高まるので、塩分制限の指示が出てしまう方も多いですが、カリウムは体内の塩分を排出する働きを持っていますし、むくみも防いでくれます。

• 食物繊維：整腸剤の役割をもつ

水溶性食物繊維は水に溶けやすく、便通を促進し、体内のコレステロールや毒素を排出する働きをします。

新陳代謝を良くすることは、健康を維持する上で大切です。

• ビタミンB6：妊娠中のつわりを和らげる働き

妊娠初期のつわり（悪心や嘔吐）を治療するために用いられる栄養素でもあります。

妊娠中に里芋を食べる上で注意すべき点

 食べ過ぎに注意

妊婦さんに限らず、里芋を食べ過ぎると腹痛や下痢など引き起こす原因になるので、食べ過ぎは禁物です。

偏った食事をしないようにして、特に妊娠中はバランスの良い食事を心がけるとよいでしょう。

泥付き里芋に注意

泥付き里芋は、土や砂の中に混じった寄生虫の卵による感染症を引き起こす可能性があると言われています。

感染すると、首のリンパの腫れ、発熱、筋肉痛、倦怠感などがあるそうですが、ほとんどは無症状なので、過度に神経質にならなくて大丈夫なようです。

「菊芋の食べ過ぎ」に興味がある方は、こちらをご覧ください。

まとめ

里芋は、食べ過ぎると下痢になるか、お通じや腹痛、ダイエットなどへの影響はあるかなどについてお伝えしました。

• 里芋を適量食べる程度では心配ないが、里芋の食べ過ぎで、下痢や腹痛など体に良くない影響が出る場合もある
• 里芋は食物繊維が豊富なので、便秘解消にも適していると言われ、お通じの改善にも役立つ
• 里芋にはダイエット効果のある栄養素が含まれているので、ダイエットをサポートしてくれる

低カロリーの里芋は、胃腸の調子を整え食欲を増進させる効果もあり、便秘で悩む方、ダイエットしたい方、妊娠中の方、健康を考える方におすすめの食材です。

この記事を参考に、体に優しい効果がいっぱいの里芋を、適量に美味しく食べて、ダイエットや健康を手に入れていただけたら嬉しいです。